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物語の中の司法書士

Shihoshoshi in novels

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[Entry number 004]

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Entry nubmer 004 紹介者
多田宏治
著者
宮部みゆき(みやべみゆき)
題名
火車(かしゃ)
出版社
新潮社
内容
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、 関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して−− なぜ、彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? なぞを解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎 賞に輝いたミステリー史に残る傑作。 (同書「裏表紙」より)

登場場面
「そのご住所には、有吉公認会計士事務所の登録は見当たりませんが」
  ちょっと虚を疲れた感じだった。
「まったくありませんか。似たような名称の事務所も?」
「お待ちください」
  現在の番号案内はすべてコンピュータ照会によるものだから、ざわざわした雑音の底に、
かすかなキータッチの音が混じって聞こえてくる。
「ございませんね。ご住所に間違いありませんか?」
  もう一度読み上げて確認した。読み違えではない。仕方がないので、いったん電話を切
った。
  会計士や弁護士、司法書士など、独立して看板を掲げ、依頼人相手に仕事をする商売の
人間は、めったに事務所を移転したりしないものだ。それは根を引っこ抜いてしまうこと
だから。彼らが一様に、最初に開業するときの場所の選択にうるさいのは、一度そこに居
を定めてしまうと容易には移動ができないからだ。
  新米のうちに、誰か先輩の事務所に居候をさせてもらい、時機を見て独立するというこ
となら、移転も考えられる。しかし「有吉」と単独名で営業していた事務所が、そっくり
すぽんと電話帳の上から消えてしまうとは−−

(同書文庫本61ページ〜62ページ)

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